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2021/08/02

午前中、時間があったので上野俊哉『アーバン・トライバル・スタディーズ』を読み返す。高校生の頃から、上野俊哉の文章からは多くを学んできた。音楽について、現代思想について、ダンディズムについて……今回の読書でも励まされたように思った。人に言わせればフリーターみたいな境遇で働いている自分なのだけれど、上野の本を読めば自分もひとりの主体として音楽シーンや政治にコミットしていき、状況を変えることができるという自信をもらえるように思ったのだ。それがこの世界の成り立ちなのだ、という……。

『THIS IS US 36歳、これから』第9話を観る。そして近所のイオンに行ったら、たまたま母が買い物に来ていたので話をした。ドラマの内容も相まって、私自身の親孝行について考えさせられた。大学を出たはいいもののどこにも就職する当てもなくて、今の会社に潜り込んだ。そこは薄給だったので、私は旅行ひとつプレゼントすることもできなくて、全然親孝行なんてできなかった。でも両親は私が今、発達障害者として会社やプライベートで頑張ることを応援してくれている。私自身も今は幸せだと思っている幸せに生きることが親孝行なのかな、と思った。

少し泣いてしまうことがあった。過去のことを思い出したからだ。過去……ずっと私は生まれてきたことを恥じていた。生まれてきて申し訳なく思い、自分が居なければ高い学費を払わせて大学に行かせることもなかったのだから両親は悠々自適な老後を過ごせたのではないか、私を育てることで両親は心をすり減らしてしまったのではないかと悔やんでいたのだった。『THIS IS US』がまさにそういう親と子の関係を描いたドラマだったから、私も親に対する葛藤について考え、自分自身が今幸せかどうかを考えてしまった。

中島義道『孤独について』を少し読む。考えてもしょうがないことではあるのだけど、もし時代がこんな風でなかったらと考えた。就職氷河期でなければ私は出版社に潜り込むなり大学に残るなりできて、もっと成功した人生を歩めたのかもしれない。だが、そうなると今の友だちと会うこともなかったわけだ。何度も挫折して、何度も死にたいと思って……しかしそれがあるからこそ今がある。ニーチェではないが、私はこの人生を肯定したい。このようにしか生きてこれなかったからこそ、この人生を腹を括って生きたいと思った。

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